越後白なす

『越後白なす』という白いナスをご存知だろうか?

西蒲区の弥彦から岩室地域に持ち帰り、数十年もの間、自家採種され続けていた野菜だ。
ここ数年、『みどりとおひさまの会』と北越農事が中心となり西蒲区で特産化をすすめてる野菜だ。




ごらんの通り白い。
初めて見る方は必ずビックリされるインパクトの強い野菜だ。
私は面白い野菜をみつけるとTwitterやブログで紹介したり、消費者に説明したりするのだが、この『越後白なす』の反響は今まででも一番といっても過言ではないほどの反響だ。
他にはサボイキャベツ、バターナッツカボチャ、トマピー、このあたりが反響がよかった。

どうやら一般の消費者にとって反響のいい野菜というのは、

『馴染みのある野菜だが、ちょっと色や形が違う』

くらいのほうが反響がいいみたいだ。
例えば、茎レタスやセロリアック、パワーリーフのような全くみたことのないような変化球すぎる野菜は反応が悪い。




さて、肝心の味だが、特徴は



加熱するとトロリとする
アクや苦味が少ない



この2点が特に高い。
実はサイズにはバラツキがけっこうあり、これは固定種特有の個性というものだろう。
また、色が白いために一般のナスよりもキズが目立ちやすいが、これは全く気にする必要がない。
むしろ、私はキズがあり、クリーム色に近い白ナスをオススメしている。





というのは、真っ白の白なすはハウス栽培の可能性が高いためだ。
実際に生産者にお聞きした話をまとめると



味は間違いなく露地栽培のほうがよい。
今まで数十年間露地で栽培してきた。
流通量が増えると、キズがあるナスが嫌がられた。
大きな契約の話になると、規格も要求される。




とのこと。

つまり、生産者がずっと維持し続けてきた『越後白なす』の味が流通量が増えるとともに、味が変わりつつある。というよりも、変えることを要求させられる。




固定種、伝統野菜というものは生産量が少なく、規格のバラツキが大きい。しかし、味や色に個性があり、その土地に根付いた野菜である。
それらの野菜をスーパーで売られているF1種野菜にあてはめようとするのには無理がある。



消費者にはぜひ、この『越後白なす』の素晴らしい味を今後も維持し、次代に繋げられるよう、固定種としての特性を理解し、野菜を購入して頂きたいし、販売店、生産者もその情報をしっかりとアピールして欲しい。


それが一人の生産者がずっと大事に種を取り続けてきた野菜をブランド化する上での根底での決まりだと思う。



『越後白なす』はクリーム色を買うべし。


野菜ソムリエ やまぎし

野菜リテラシー

有機農産物について。
ここでみなさんよく勘違いされていることをお話すると



1、有機農産物と表示して販売することができるのは国のJAS認定を得られた農産物だけである。



2、JAS有機農産物=無農薬野菜ではない。






1に関してはみなさんスーパーの有機農産物コーナーでみかけたことがあると思います。
あのシール商品のみが正式に名乗ることができる有機農産物なのです。


一部の詳しい方には周知の事実だが、有機農産物とは官僚の方々がお創りになられた、とてーも分かりづらい法律によると



「化学的に合成された肥料及び農薬を避けることを基本として、播種または植付け前2年以上(多年生作物にあっては、最初の収穫前3年前)の間、堆肥等による土づくりを行ったほ場において生産された農産物』



一度聞いただけでは何を言ってるかわからない官僚言葉。
これがめちゃくちゃ大変。
提出する栽培記録の数が半端じゃない上に、隣の畑で農薬使っていたら飛散するのでムリ。
実際に断念した生産者も私は知っています。



さらに、ここからが官僚の方々の得意な言い回しになるのですが、
化学的に合成された農薬は禁止。化学的に合成されてなければよい。


つまり化学的に合成された農薬は使用できなくても、天然鉱石を原料とした農薬ならオッケーということなのである。

ここのところを理解していない人は非常に多い。


サイト参照
【有機表示のできる農薬】
http://www.greenjapan.co.jp/yuki_hyoji_noyak.htm





全く、このJAS認定有機農産物が何の安全性を示す基準になるのか不明だし、とにかく分かりづらい。


分かりづらいので有機野菜=安全という認識が強まるのである。
さらに、これを膨らましていくと、何が安全なのか本当にわけわからなくなる。


例えば、
有機肥料となる原料が家畜の糞尿であり、では、その家畜は抗生物質をつかっていないのか?

家畜は化学肥料の飼料を食べてないのか?

硝酸態窒素の問題は?

残留放射線量の生物的濃縮は?

そしてその将来的安全性は?


これらを全て売り場に情報開示するには現実的にムリがあるし、なによりも、消費者が望んでいない。



大事なことは『有機野菜』や『朝どり』『直送』などといった安易なフレーズに惑わされることなく、野菜を選択する。
それはレストランでも同じ。


オーガニック野菜だか、なんだか知らんが、どこの誰がつくったかもわからないような野菜のほうがよっぽど危険であるし、それを全面に押し出すようなレストランは、その程度の野菜偏差値しか持っていないということだろう。
本当に野菜偏差値の高い方なら、これらのフレーズはどれも積極的に使うのはためらうはずだ。



先日、ある週刊誌に福島産の放射線基準値超え野菜を買い占め、それを付き合いのある飲食店に横流している記事が掲載されたりもした。



『有機野菜』や『朝どり』『直送』などといった安易なフレーズに惑わされることなく野菜を選択することが大事。



情報化社会の発達により、ものすごいスピードで情報が蔓延。
近年、メディアに対するリテラシーが問題となっている。




野菜情報に対するリテラシーも求められている。




野菜ソムリエ やまぎし

ほんとうに美味しい桃は食べれない!?

果樹農家の五十嵐さん。
新潟市の旧潟東村で栽培されている。

桃や梨が真っ盛りの時期におじゃました。







沢山の桃が完熟し、今にもこぼれ落ちてしまいそうな雰囲気。




『ここの桃はもう出荷できないかな。』

と一言、五十嵐さん。


どうやら、この状態では食べ頃過ぎて流通を経ると、もたなくなり、売り物にならないらしい。





とはいえ、この量が破棄とは驚くばかりだ。





続いて梨園。
ここで梨を一つ見せて頂いた。





この写真の梨の軸の付近にある丸い突起物。
これが五十嵐さん曰く、美味しい目印らしい。


梨の美味しい見分け方の一つとして、重量感があり、下部がどっしりとした丸みを帯びてるというのは聞いたことがあったが、これは知らなかった。




ちなみに梨は糖分が下部に蓄積するタイプ。甘みが部位によって差が強い野菜なのだ。
有名なとこでは、カボチャやジャガイモは外皮に近い部分にデンプンが多く含むために、外皮に近い部分の方が甘みが強い。




さて、この梨達。

どうやら、またしても五十嵐さんのお話では売り物にならないらしい。







流通経路の発達により色んなものが好きな時に好きなだけ食べられる日本。
しかし、毎度、畑でお話を聞く限り、本当に美味しい野菜を知ることが出来なくなってきてるのが現状だ。

それは、流通をベースに出来る、見た目であったり、ニセ旬であったり、種であったり、色々なものが複合的に重なって、起きてるのだが、根底には消費者が美味しい野菜を見抜く力がないためと、個人的には思う。

この消費者の野菜偏差値を上げない限りは、いかに生産者が美味しい野菜をつくってもムダになってしまう。

そう。おそらく90%以上日本はTPPに参加することは決定だろう。
これは、日本の外交力のなさ、相手が米国であることを考えるとどうしようもないことだ。

反対してもムダなのである。
よって参加を前提として日本の農業の今後を考えなければいけない。

そして、日本の地理的条件を考慮すると、生産コストを下げるには限界がある。
となれば、あとは如何に素晴らしい商品をつくり、付加価値で勝負するかになるが、肝心の消費者にそれを受け入れる能力が足らないのである。
この消費者の野菜に対する興味啓発、野菜を選ぶ能力を上げることにポイントがあるように思う。
そして生産者や流通業者はそのための情報を増やさなければいけない。
それは店頭でのPOPや生産情報の開示、商品アピールデモなどなど。
そしてそこに野菜ソムリエとしてお手伝いできることは沢山あると思うし、それこそ野菜ソムリエたる使命だと思う。




消費者野菜偏差値を上げる。


これは野菜ソムリエとしての使命だ。

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紫水ナスのジェノベーゼ

紫水ナスというナスがある。

小さめのナスで漬物とかに使われるナスだが、これがとても美味しい。
今年、新たに知った野菜の中では一番ではないだろうか?

伝統野菜でも固定種でもなく、F1種の類いなのだが、驚くほど美味しい。





長岡野菜の梨ナスに近い味。
水分がとても多く皮が薄い。リンゴのようなほのかな甘みとクセのない味。漬け物にするにはもったいない味だ。
ぜひ、採れたれを薄切りにし、オリーブオイル、塩、粉チーズ、ビネガー少々でカルパッチョ風にして食べて頂きたい。
今までのナスの概念が変わる味だ。



実はこの野菜、あまりに知名度が低く、十全ナスと並ぶと売れ残ることが多いらしい。
確かに、十全ナスはブランド力が強く、漬け物にするにはもってこいだ。
しかし、生で食べるなら、断然こっちだ。
といっても、一般のご家庭ではなかなか生で食べる機会が少ないが。。



今日のランチでの一品。






『紫水ナスと大葉の冷製ジェノベーゼ風』



大葉はピューレ状にし、レモン、チーズ、オリーブオイル、アンチョビを加え、バジルのジェノバソース風に。
紫水ナスは直前でスライサーで薄切りにし、甘みが活きるように。


野菜ソムリエ やまぎし

長岡野菜セミナーランチ

新潟市のイタリアンレストランBACAROさんで長岡野菜のセミナーランチを行ってきました。
BACARO長岡野菜セミナーランチ





BACAROさんは新潟市内に2店舗を構えますイタリアンレストランで、私も昔からよく利用させて頂いてます。
出来島店とラブラ万代店があり、本格的なイタリアンを気軽にリーズナブルな価格で楽しめます。


セミナーは出来島店の若林シェフに長岡野菜を作った料理を提供して頂き、長岡野菜と伝統野菜についてのお話をさせて頂く形式です。




【セミナー内容】


1.長岡野菜とは?

信濃川がつくった肥沃な土壌や夏の高温多湿、豪雪などの気候風土の中で、愛され育てられてきた伝統野菜。長岡中央青果の鈴木会長が平成10年に長岡巾着ナスをきっかけに、探し出し、認定しブランド化した伝統野菜。



品種紹介 現在13種。



※固定種=在来種=伝統野菜ではない!

では固定種とは? F1種とは?



2.長岡野菜、伝統野菜の課題と問題点

長岡野菜、地域の伝統野菜は収穫量が小さく、手間がかかるため、消費者販売価格が高くなってしまう。



『大量生産、大量流通の弊害』
一つの野菜に対する情報のなさ。これでどうやって選ぶの?




『消費者野菜能力の低下と在来種絶滅の危険性』




『野菜の個性が失われる』
人参の味ってなんだっけ? きゅうりのサイズはなぜ同じ?




『地域の文化財である伝統野菜を時代に引継ぐには?』




3.美味しい野菜を食べるには?




『野菜の見分け方。旬とは?』
トマト、キュウリ、葉物野菜はこれでOK!




『いい直売所の見分け方と、今後の直売所問題点』
直売所は汚い店を狙え!




『安易なフレーズに騙されるな!美味しい野菜はこう見抜け!』
朝どり野菜は朝どりじゃない?







以上抜粋。こんな感じでお話させて頂きました。




続いて料理。






前菜 梨ナスとモッツァレラのサラダ 生ハム添え
   青魚とズイキのテリーヌ
   夕顔とハマグリの白ワイン蒸し



梨ナスはやはり鮮度がいいものは生がオススメですね。
ゆうがおにしっかりと浅利の出汁がしみこんでます。






パスタ 深雪もち豚の自家製サルシッチャとかぐら南蛮、
かぐら南蛮を練りこんだタリアテッレ


とても好評でした。かぐら南蛮はパスタと生のダブル使い。






ドルチェ 長岡巾着ナスのミルフィオーレ

みなさんビックリされておりましたが、巾着ナスを使ったドルチェ。
巾着ナスは、果肉が緻密なので、コンポートされても食感がのこります。



今回のセミナーは新潟市のみなさまにはまだまだ馴染みの浅い長岡野菜の魅力を知って頂く企画。


こういった伝統野菜は、やはり収量が少ないために販売価格が高くなってしまうのが目下の課題。
セミナーを通じて少しでも認知度を上げ、なぜ高いのかを含め、知って頂く機会に少しでもできればと思います。


今後もこのような伝統野菜の企画をしていきます。
今度は長岡でも行いたいですね。


ご参加下さったお客様、BACAROの若林シェフ、スタッフのみなさま、大変ありがとうございました。




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