『冬菜』は『ふゆな』と呼べ。

オータムポエムとアスパラ菜って一緒ですか?




直売所などでよく聞かれるこの疑問。この疑問に答える前に、先ず、菜の花とトウ菜といわれる野菜を整理してみる。
菜の花はアブラナ科の野菜の花蕾部分を指し、トウ菜は花が咲くまでの、いわゆるトウ立ちの部位を指しています。トウ菜とは部位名であり、品種名ではないのです。




菜の花をつける野菜はアブラナ科の野菜である。
もともと日本には在来種のアブラナ科の品種はアブラナ(学名:Brassica rapa var. nippo-oleifera)がありました。ここから明治の初期にセイヨウアブラナ(学名:Brassica napus)が導入されると、在来種のアブラナに置き換わり主力に。例えば、三重なばなや、のらぼう菜、川流れのような品種は全てこのセイヨウアブラナからの改良種である。

改良種とは別に、伝統野菜である野沢菜や小松菜、大崎菜は栽培開始時期を考えると在来種であるアブラナからの変異した野菜であり、その歴史は長く、例えば新潟の魚沼地域で栽培されている大崎菜は300年以上の歴史がある。これには驚き。もしかしたら新潟で一番歴史が古い固定種の野菜であるかもしれない。
ちらっと聞いた話ではあるが、大崎菜は未だに品種のバラ付きが多いらしい。土や環境の影響を受けやすく、栽培農家によって微妙に姿、形が異なる。
つまり、種の遺伝的変異の“ゆらぎ”が非常に大きい野菜であると言える。
大崎菜と並ぶ新潟のアブラナ科の伝統野菜である女池菜は、明治以降の野菜であるために在来種アブラナの血を継いでいるか微妙なとこではあるが、小松菜からの流れを汲んでいれば在来種であるアブラナからの変異であると思われる。


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新潟市の女池菜




では近年出荷量が増え、新潟でも上越野菜に認定されているオータムポエムとはどういったものか?
オータムポエムはセイヨウアブラナの一種の中国野菜、紅菜苔と菜心を掛けあわせてつくった品種です。このオータムポエムと愛味菜という野菜を合わせてアスパラ菜といいます。
つまり、アスパラ菜群の中にオータムポエムという品種があるということです。
さらに、アスパラ菜はトウ立ちした部分を好んで食べる品種であることからアスパラ菜はトウ菜の一緒であると言える。


さて、新潟では『冬菜』と表記するアブラナ科のトウ立ちした菜っ葉が出荷されるが、これは品種名である。
ややこしくなるが、冬菜はトウ菜の一種であり、トウ菜=冬菜というわけではないのである。

さらに、トウ菜とパッケージに表記されてあった場合、様々な品種のトウ立ちした葉野菜が混在して売れれていることもある。

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事実、ある農家では野沢菜のトウ菜を出荷しているし、白菜のトウ菜を出荷している農家もいる。
では、品種名である冬菜とトウ菜を厳密に区別して出荷されているかというと、それは微妙なところ。
『冬菜』と表記されているのに、野沢菜のトウ菜をみかけることもある。
『冬菜』を『ふゆな』と呼んで頂けると、わかりやすいのだが。。




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整理してみるとこんな感じ。








先日、日本農業新聞の方が東京から取材でいらっしゃった時に、新潟の直売所を案内しました。
その際、他県でのトウ菜の栽培について聞いてみたが、やはり菜の花のトウ部分まで好んで食べる習慣は新潟特有らしい。もっというと、雪国なのではないか?と思う。
過去ブログ→冬野菜が甘くなるわけ

野菜は光合成で作った糖分をショ糖に還元し、茎、すなわちトウ部分に転流させる。
以前、ブログでも話しましたし有名な話であるが、野菜は自身が凍らまいと糖分を高める。




雪を割り、春先にでてくるトウ部分には、ショ糖が多くあり甘みが強いことを雪国の農家は知っていた。
だからこそ、“トウ菜”を好んで食べる習慣があるのであろう。





一次産業プロデューサー 山岸拓真

新潟農家ライブ

うちのマルシェにて、農家インタビューのファシリテーターを努めました。








うちのマルシェは人が集い、地域のおいしいものやワクワクするもの、楽しいもの、素敵なものなどをみんなで提供しあい、楽しい場所を共有する「市場」商店街・作り手・小売業者・消費者・街・食・観光など地域の様々ものを結びつけて「地域みんなで楽しむ市場」を作り、賑わいや交流、活性化を目指しており、今回が記念すべき第一回。











今回は内野駅前に拠点を構えるNPOヒーローズファームさんと一緒に作成しました『こだわり農家ナビ』のお披露目会ということで、
冊子にご協力頂きました農家さんと農家インタビューを。

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こだわり農家ナビ→新潟の野菜ソムリエ監修こだわり農家ナビ完成 - evergreen ~畑に行く新潟の野菜ソムリエ~








テーマは『農家の一年』








春、夏、秋、冬の四季にセクションをわけ、その季節ごとの農家さんの生活を探ります。













今回、農家インタビューにご協力頂いた若手農家の、永塚さん(左)と太田さん(右)









新潟市は都市と農村が共存した田園都市。
中々みえてこない農村の生活を農家さんから引き出し、知って頂きたいというのが本音。

また、今回は若手の農家の息子さんお二人をお招きしたのですが、農家という職業を先ずは知って頂きたいというのもありました。
楽しいことも、辛いことも。
外部からの作られたイメージで農業や農家の後継ぎ問題を語るのではなく、先ずは農家というものを知って頂きたいと。












今回のイベントを機会に新潟市の農村と住宅地の境でもある内野を舞台に、これだけすぐそばにある新潟市の農村を知るキッカケになったら幸いです。











野菜ソムリエ 山岸拓真

固定種とF1種

固定種やら、F1種、在来種、伝統野菜、自家採種。
これらについてしっかりまとめてみる。



野菜というのは種の種類によって大きく2つに別れる。




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一つはF1種、交配種と呼ばれるもの。
F1種とは、交配種 雑種第一代とも呼ばれ、異なる性質の種を人工的に掛け合わせてつくった雑種の一代目。
F2(F1種から採取した種)になると、多くの株にF1種と異なる性質が現れる。
生育が旺盛で特定の病気に大病性をつけやすく、大きさも風味も均一であり、大量生産、大量輸送、周年供給などを可能にしている。





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自家採種では同じ性質をもった種が採れない(種の生産や価格をメーカーにゆだねることになる)
また、F1種は種とりができないと言われたりもするが、F1種は種とりができないのではなくて、形質のばらつきが増えるために営利栽培にてきさない。これがF1種が自家採種できないといわれる理由の一つ。


現在市場流通している野菜の殆ど全てがF1種であり、農家は毎年種をとらず、種屋から買っている。







もう一つは固定種。
何世代にもわたり、絶えず選抜・淘汰され、遺伝的に安定した品種。ある地域の気候・風土に適応した伝統野菜、地方野菜(在来種)を固定化したもの。
生育時期や形、大きさなどがそろわないことがあるが、地域の食材として根付き、個性的で豊かな風味をもつ。その土地に根付いた品種で色や形の個性が強いのが特徴。

新潟県で言えば、豊栄のやきなす、長岡野菜の長岡巾着なす、梨ナス、かぐら南蛮、西蒲区の越後白なすなどが固定種になる。




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かぐら南蛮

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越後白なす


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やきなす


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長岡巾着なす


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梨なす








ちなみに自家採種というものは農家が種取りをしてる野菜であり、在来種というものは定義的には江戸時代以降、日本に存在した植物である。
さらに伝統野菜というものは特に定義がなく、その団体が決めた基準によって決められる。
例えば、長岡野菜は以下の認定基準によって13種が認定されている。

1、 古くからあって長岡でしかとれないもの
2、 どこにでもあるけど長岡で作るとおいしいもの
3、 新しい野菜だけれど、長岡で独特な食べられ方をしているもの

かぐら南蛮や巾着なす、梨ナスは1。白雪こかぶは2。夕顔や糸うりなどは3となる。


つまり、固定種=在来種=伝統野菜ではない。
たとえば、夕顔はF1種であるが、長岡野菜という伝統野菜であったり、在来種であっても形質的に安定しない野菜は固定種ではない。F1種であっても自家採種10年ほどし、形質が固定されたものは固定種となる。








F1種と固定種の違いはこんな感じ。








こういう話になると固定種に関して絶対視する方が多いのだが、私はF1種を否定を一切しない。
それは、現在の食糧供給を支える上で、農家の収入の安定性を考える上でF1種の存在は不可欠であり、それこそ日本の高度経済成長期を支えた食料供給という面ではF1種の貢献は計り知れない。
F1種が支えた食料供給という文化もあるというわけです。





だが一方で、何代にも渡って、様々な方々、様々な土地でその土地の食文化と共に愛され、種が絶えることなく次代に引き継がれてきた固定種の存在は引き継がれていかなければいけない文化的価値が大きい野菜だと私は思う。


たとえるならば、古民家のようなものというとわかりやすい。
現在、古民家鑑定士なる資格があるという。
従来、固定資産税の面でしか評価されなかった古民家に対して文化的価値の面から評価、鑑定する資格。

固定種の野菜もこのような文化的価値の面から評価し、その土地にの食文化と共に次代に引き継がれ無くてはならない。






しかし、残念ながら、こういった伝統野菜をアピールする際、この文化的価値に重きをおいてPRすることは少ない。
相変わらず味覚的な価値に頼りすぎている。
『おいしいから食べましょう』
そもそも味っていうものは、好みに左右されやすく非常に不確かで絶対視できないものだと私は思うし、これだけ美味しいものに囲まれ続けてきたてきた今、消費者が選ぶ力があるとは思えない。
もちろん美味しいだろうが、価格差を超えてまで手を伸ばすには説得力が欠ける。




伝統野菜や固定種野菜の素晴らしさを伝える上で、抜きには語れないのが味以外の価値の側面。
伝統野菜は地域の食文化を中心とし、形成されてきた素晴らしい地域資源。






味だけではない種そのものの価値を理解し、伝える人材が増えなければいけない。





価値を伝え、愛着をもって買って頂く消費者が少しでも増える。
それがこの文化的価値をもつ素晴らしい野菜を残す一歩だと思う。






野菜ソムリエ 山岸拓真

新潟日報農産物直売所記事

新潟県の農産物直売所の現状について、5/26新潟県日報に掲載された記事です。



記事右側






記事左側















非常に客観的に新潟県の農産物直売所を捉えていて素晴らしい!





特に記事右側はプロ農家の販売店としての機能、左側はセミプロ農家のやりがいや、いきがいの場の直売所としての機能と、多角的に分析してる。



非常に残念だったのが、記者が疑問を投げかけた




『仕入ればっかりしたら、直売所としての魅力が失われてしまいますよ。淘汰は農産物直売所としての理想に向かった淘汰なのですか?』




という記者の問いに対して、記事上では全く明確な答えが返ってこなかったこと。



もしくはカットされたのかな?







そして、スーパー化=直売所としての機能の失墜を、競争が生産者を育てるという謎の論理のすり替え。








直売所がどんなに魚や肉を置こうが、どんなに調味料を置こうが、品揃えという面ではスーパーに勝てないし、そんな販売店が農産物直売所と言えるのか疑問に思う。










では、スーパーがインショップ農産物直売所を始めたら全く勝負にならないかというとそれは違うだろう。






農産物直売所にはスーパーにできない農産物直売所としての強みがある。

例え、どんなに野菜を充実させようと、





農家さんに会えますか?
農家さんに質問できますか?
店員にこだわりを聞いてかえってきますか?








どんなにスーパーがインショップ直売コーナーで野菜を充実させようが、農家感はだせないだろう。

それは、スーパーがいいとか悪いとかではなく、利便性を追求し、オペレーションを簡略化し、成功した業態だからだ。
そこにコストをかけないし、ましてや消費者が望んでいないだろう。










私は農産物直売所はスーパーと争うべきライバルではない。
本当のライバルは消費者だと思っている。






農産物直売所の魅力をいかに消費者に伝えるか?


スーパーでは得られない魅力をいかにだすか?






もし、スーパーをライバルの対象者として意識しているのであれば、それは自信の農産物直売所の農家を置き去りにしている証拠だと思う。









農家とコミュニケーションをしっかりとる。



そして、その農家感という強みを最大限に活かす。

けっして目の前にいる農家を置き去りにしないで欲しい。









野菜ソムリエ 山岸拓真

農家に会いにいける場をつくる。野菜には魔法がかかる。

この図は4月よりスタート予定の私の企画を簡略化したものです。











『生産者は作っている野菜の情報を発信する。一般の消費者は交流によって農家さんに声を届ける』








この双方の矢印が太くなればなるほど、生産者と消費者は理想の関係を築けると考えております。










そして、私の仕事とはこの双方の矢印を大きくするお手伝いをすること、または、その場を提供することです。




















今の情報がありふれた社会で消費者が求めうる付加価値の高い野菜の情報を、消費者の元へ埋もれずに届けるには生産者の発信力を強くする必要があると思っております。

(美味しい野菜の情報を知りたがっている消費者は沢山います。ただ、その情報が集約された場がないと。)





また、その発信力を強くするためには生産者のモチベーションや、やりがいを作ることが必要。
そのためには一般の消費者の声が必要であり、それは評価のフィードバックと考えております。



いや、評価まではいかなくても、触れ合い。交流。






それこそ、



『こちらが生産者の~さんです。』

これが私が『→』を太くした作業。


『そうなんですか?こんな野菜初めて見ました!凄いですね!』

これが『消費者からの声であり、評価』






これでいいのです。








私はこの消費者からの声、そして、この価値こそが生産者の発信力を強くするキッカケになると思っております。











今までに生産者が感じたことのない価値を一般参加の声により創る。それが、モチベーションをあげ、発信力を強くする糧になると考えております。















今の仕組みではよきにしろあしきにしろ、消費者の声が届かない。そのためにはこの矢印を太くする場の提供。もしくは太くするお手伝いが必要と考えております。







今回の私が企画しておりますプロジェクトは前者の場のプロデュースです。
それを簡略化してみた図です。










4月からスタートの企画





『やさいのへや ~農家に会える、野菜に魔法がかかる~』




古民家で農家さんがつくる素朴な料理でランチを楽しみながら、農家さんと話す。








それは一個の野菜が出来るまでの苦労だったり…
こだわりだったり…
地域の伝統食のお話だったり…
家庭菜園のアドバイスだったり…
はたまた、たわいもない近所話だったり…






『あー。これ、先日お会いした誰々さんのキャベツだー。そーいえば、こうこう作ってるって言ってたなー。』







『この人参、実はめっちゃこだわってるんだよねー。値段は一緒だけど、こっちのほうが美味しいヒミツを知ってるのは私だけ。みんなに教えたいよ!』










『やさいのへや』の門を一度くぐれば、たちまち直売所での野菜選びが楽しくなりますよー










みなさま応援宜しくお願いします!










野菜ソムリエ やまぎし

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