新潟農家レストランやさいのへや

私がプロデュースしております新潟の農家レストラン“やさいのへや”を新潟の情報誌『キャレル』さんに特集して頂きました。



取材の時にお話に上がったのが、
『農家レストランの定義が難しいのですよね』
という点ですが、紙面で伝えきれなかった私の農家レストランへの思いを。



【モノだけではもったいない!】

現在、農家レストランは全国1000店舗を超えております。
しかし、その多くは『モノ』である農産物のみのやりとりです。普通に席に案内されて、お冷を出されて、普通に食事が出てきて、お会計をして帰る。
確かに料理にその土地で採れた農産物は使われておりますが、農家レストランと言っておきながら農家との接点は農産物というモノのみ。

いや、農家が命をかけて生産したモノが悪いと言ってるわけではございません。
モノのみの価値でしか農家レストランというものをアピールできないのであれば、農家レストランと名乗る必要はないということです。
むしろ、農家レストランという業態としての価値全体を下げてしまいます。



やさいのへやでは農家との対話を大事にしました。農家と話し、モノづくりの過程や、思いを感じて頂き、食事を頂く。その会話にこそ農家レストランの魅力が凝縮されているといっても過言ではないでしょう。素材の作り手の生の声は本には載っていないリアルな話です。その話こそが料理の最大のスパイスになります。
演出する我々は農家が会話できる空間、会話のキッカケの糸口を振るだけで十分です。農家が話せる空間作りのみに集中すればよいのです。我々はあくまで影であり、あの人何してるの?くらいが一番だと思います。主役は農家です。真摯にモノづくりに向き合ってる農家が自らが話すから説得力があるのです。





【農家料理は簡単に手に入らない!】

やさいのへやで提供する料理は農家の皆さんの家庭で食べられている料理です。
白いご飯に、具沢山の味噌汁、ご自慢の漬物。派手さはなく、一見すると年寄り臭い印象がする料理です。しかし、これこそが価値ある食事であると思います。



素材の香りや、白いお米を際立たせるメリハリある味、自家製の香物の深みのある味。
農家の家で当たり前に食べてる料理は、実は一般の家庭では手に入りそうではいらない、大変価値ある料理なのです。当然のことながら、素材が新鮮でなければいけませんし、その新鮮な素材に毎日当たり前に触れているからこそ生み出される料理もあります。また一人の人間が学ぶことのできる年数を遥かにこえた『継承料理』もあります。これらは農家の食卓でしか味わえないものです。
その手に入らない価値ある料理を、作り手のコダワリを聞きながら食べる。そんな空間を演出することが農家レストランでは何より大事だと思います。




【農家との近さが地域の資源】

私は予てから地方都市である新潟の一番の魅力は農家との『距離の近さ』であると考えております。わずか数十分車を走らせれば農家がいて、そこには真摯にモノづくりに取り組んでいる農家がおり、農村には食文化を中心とした沢山の魅力的な地域文化が残っております。農家に直ぐに会いに行ける環境こそ新潟の魅力の一つなのです。農家に会って会話をすることは、新潟市民でも気づかなかった再発見の連続です。

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イチゴ狩りやぶどう狩りなどの収獲体験もいいでしょうが、それではコンテンツとしてはまだまだものたりません。物足りないというよりももったいない。収穫体験、その土地の農家との交流、食事。聞いて感謝、食べて感動。そんな地域の魅力を農家レストランではトータルで伝えることが出来ます。





【いいモノを伝えるには時間が必須】


昨今、付加価値の高い農産物への需要が高まっております。高品質を訴えるにはモノとしての側面以外の価値を上げていかねばなりません。しかし、付加価値を上げるには、ある程度の時間が必要です。イイモノをイイと伝える時間が必要なのです。圧倒的な商品力の差があれば、理解されやすいでしょうが、いまやもはや美味しいものだらけで商品力の差がつかない時代になってきています。

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野菜も同様です。品種力が向上し、資材の質も昔とは比べ物にならないくらい向上しております。その中で、抜きに出るためには価値を訴える時間が必要です。価値を訴える中で『農家』という人に付加価値がつくかもしれませんし、何よりも差別化を消費者に訴えることが出来ます。そのためにある程度の時間が必須なのです。
物販販売と飲食店の絶対的な違いは滞在時間です。店頭販売の物販だけでは伝えきれない、魅力を伝えるべきチャンスになりうる時間が飲食店にはあるのです。
農家レストランにはこの時間という機能が備わっております。その時間の恩恵を最大限発揮して野菜の付加価値を上げることができるのです。




このように、農家レストランは単なる食事としての機能以外の面での波及効果が沢山あります。しかし、中々農家だけ、飲食業者だけで農家レストランの魅力を全て発揮するのは難しいでしょう。人間が生きていく根幹となる食という分野だからこそ、複合的で非常に幅広い能力が求められてきます。

農家を中心として様々な方々で農家レストランを企画、運営していく必要があると思います。その時に一番大切にしていただきたいことは『農家感』です。『農家感』がない農家レストランはただのレストランです。どこにでもあるレストランです。農家だからこそできる。という部分を常に意識し、農家が活きる演出を常に心がけることが大切です。
農家感を最大限に発揮し、農家レストランの潜在能力を全て発揮出来た時には、そこは他の地域にはない食文化の発信基地となるでしょう。



一次産業プロデューサー 山岸拓真



農家レストランやさいのへや→季節に出会う - 岩室温泉・農家交流レストラン「やさいのへや」(新潟市)
農家レストランのプロデュース→プロフィール - evergreen ~畑に行く新潟の野菜ソムリエ~




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